【サンパウロ綾村悟】南米コロンビアからの報道によると、6月に首都ボゴタで演説中に銃撃され、病院で治療を受けていたミゲル・ウリベ上院議員(39)が死亡した。
ウリベ氏は1978年から82年まで、同国で大統領を務めたトゥルバイ氏の孫。野党「民主中道党」からの大統領選出馬(来年5月)を目指し、反米左派グスタボ・ペトロ大統領に対抗する保守派の有力候補だった。
6月7日、遊説中に背後から近づいた犯人により頭部を銃撃され、病院で緊急手術を受けた。その後も脳内出血の止血手術などを受けたが、容態は芳しくなかった。
犯人捜査は現在も続き、実行犯の10代少年は「金目当てだった」と自供。これまでに6人が逮捕されたが、首謀者の特定には至っていない。治安当局は、保守派の有力大統領候補が狙われたことから「政治的動機」が背景にあるものと推定、麻薬密売を資金源とする左翼武装ゲリラの関与も疑っている。
ウリベ氏の死亡を受け、国内外から犯行への非難が強まっている。欧州連合の対外行動庁(EEAS)は11日、「政治候補の保護」「民主主義と治安」をそれぞれ強化すべきだとの声明を発表した。
南米ではこれまでにも、2018年にブラジルのボルソナロ前大統領が、大統領選の遊説中に暴漢に刺され重傷を負った。また23年には麻薬組織の一掃や治安対策強化を公約に掲げたエクアドルのビジャビセンシオ保守系大統領候補が、選挙運動中に暗殺された。





