【サンパウロ綾村悟】米国が8月1日から課すとしている輸入関税について、世界最高の50%を提示されているブラジルは、発動が避けられない見通しだ。
トランプ米大統領は今月9日、ルラ大統領に宛てた書簡を公開、ブラジルに50%の相互関係を課すことを明らかにしていた。背景には、保守派のボルソナロ前大統領がクーデター未遂などに関与したとして裁判を受けていることを、トランプ氏が「政治的な魔女狩り」と批判していることがある。
ルラ大統領は米側との交渉に応じる姿勢を保ちつつ、「脅迫や干渉は受けない」としてトランプ氏の批判をはねのけ、相互関税の発動や世界貿易機関(WTO)への提訴、中国との連携強化などを辞さない構えだ。
米政府との実質的な交渉は始まってもいないのが現状で、ラトニック米商務長官は27日、「関税は発動する、交渉はその後」と発言している。
ブラジルでは有権者の多くが、トランプ関税に不満を抱いていることもあり、ルラ氏の支持率は上向きだが、「米政権と関係再構築ができていない」「(関税発動で)国益を損なう」との批判も出ている。
実際に関税が発動されれば、鉄鋼やアルミニウム業界は大打撃が予想されるが、農水産分野でも、すでに米国向け水産物は輸出が全て停止、コーヒーやオレンジも輸出を見直している。
ブラジル政府や産業界は、トランプ政権への働きかけに米企業への接触を試みているが、トランプ氏からの報復リスクもあり反応は消極的という。






