【サンパウロ綾村悟】ブラジル下院議会は17日、「環境法改正案」を賛成多数で可決した。法案成立には、15日以内にルラ大統領の承認が必要。改正を通じて、環境保護を目的とした開発の認可基準やプロセスが大幅に合理化される。特に国家が主体となる戦略的プロジェクトに関しては、優先的に許認可が下されることになる。
戦略的プロジェクトの一つが、ルラ政権が進めるアマゾン川河口での海底油田開発だ。同地にはブラジル有数の海底油田が存在し、社会保障財源の確保や経済成長を求めるルラ氏が開発を強く後押ししている。
一方、アマゾン川河口には世界的にも貴重なサンゴ礁が存在し、同地での海底油田開発には、環境保護団体や環境保護活動家として世界的な知名度があるマリナ・シルバ環境・気候変動相が強く反対している。
今回の法案では、海底油田の開発だけでなく、アマゾン熱帯雨林をはじめとする自然保護地域での開発認可等も簡素化される。
環境法改正案に反対する議員や300を超える環境保護団体、先住民団体は、今回の法案を「破壊法案」「死の一撃」と批判、アマゾン熱帯雨林の乱開発や海底油田開発によるサンゴ礁の破壊、先住民の人権侵害につながると批判している。
今後は、ルラ大統領による法案署名に注目が移る。ルラ氏は、「アマゾン熱帯雨林の破壊ゼロ」など環境保護を主要政策の一つに掲げており、改正法案に修正などを求めずに署名すれば、与党内の法案反対派や環境保護団体、有権者、マスコミから「本来の左派・環境保護の価値観から逸脱した」との批判も上がりかねない。






