【サンパウロ綾村悟】ブラジル政府は、13日から米トランプ政権による関税に対抗するため、国民にテレビ、ラジオやインターネットを通して団結を呼び掛ける政府広告キャンペーンを開始する。
ネット上には、すでにインスタグラムなどで、「ここはわれわれが主権を握る国だ。ブラジルはブラジル人のものだ」と呼び掛ける政府の広告動画が流れている。動画には、ブラジルの国旗や主要輸出品のコーヒー豆とともに市民や先住民などが登場する。
トランプ米大統領は9日、ルラ大統領に書簡を送り、ボルソナロ前大統領に対する「クーデター関与容疑」裁判の継続などを理由に50%の関税を課すと表明していた。トランプ氏は、ボルソナロ容疑者に対する裁判を「政治的魔女狩り」と批判、即時停止を求めている。
トランプ関税の発表を受けて、ブラジルの通貨や株は軒並み大幅に下がり、経済界は緊張に包まれた。ただ、ルラ氏はトランプ関税を来年の大統領選挙に向けた絶好の好機と捉えているようだ。
ルラ氏は来年の大統領選挙で再選(4選目)を目指しているが、最近の世論調査では、政権支持率は過去最低を記録、大統領選挙では主要保守候補を相手に苦しい戦いが予想されている。
こうした中、ルラ氏はトランプ関税を「ブラジルの主権や司法の独立権を侵害、不当な干渉で脅迫だ」と批判する。愛国心に訴えて国内の一体化を図り、支持率につなげようという戦略だ。
一方、トランプ氏は、表向きはボルソナロ氏の裁判支援という形を取っているが、背景には親中派で中国とともに脱米ドルを目指そうとしているルラ政権を牽制する狙いがある。
両首脳は交渉の余地があることを示唆しており、トランプ氏による相互関税で最高税率を通告されたブラジルと米国の交渉は、新興国グループBRICSの動きなども含めて各国政府やメディアの注目するところとなっている。
交渉が不調に終わった場合、ルラ氏は今年4月に成立した「経済的相互主義法」をもとに、トランプ関税の発動に対抗して米国に同じ50%の関税を課すと主張している。






