【サンパウロ綾村悟】ロバが絶滅の危機に直面している――ブラジルのアラゴアス州マセイオで先月開催された「ロバワークショップ」で懸念の声が上がった。背景には、中国でロバの皮の需要が急増していることがある。ロバ皮は近年、美容や滋養強壮などに効果があるとして中国で人気が高まっている伝統生薬の「阿膠(あきょう)」に使用されている。
中国での需要増に伴いロバの屠殺(とさつ)数も急増、商業的屠殺が認められているブラジルでは、個体数が過去30年で94%減少した。一方で2016年から21年の世界のロバ皮の需要は160%増加した。
ロバは、小回りが利き性格も穏やかな労働用動物でもあり、個体数の急速な減少は、南米やアフリカの農村部で農業生産や移動手段を含む生活基盤への深刻な影響を及ぼしているという。
サンパウロ大学の研究チームは21年、ブラジル国内でロバの繁殖場や飼育・繁殖システムが存在しないことから、現在のペースで屠殺が続けば、間違いなく絶滅の危機に直面すると警告した。
アフリカのケニアやナイジェリアなどでは、ロバ皮の輸出を禁止する法律を導入、ブラジルでも同様の法案が連邦議会で検討されている。
ブラジル国内では、阿膠の代替品として細胞培養を用いたコラーゲンなど、ロバの皮を必要としない製品の研究も進められているが、中国でのロバ皮に対する需要が減少しない限り、ロバが地上から消えてしまう可能性もある。





