
【サンパウロ綾村悟】ブラジルの連邦最高裁判所で9日、ボルソナロ前大統領のクーデター計画疑惑に対する公判が始まった。ボルソナロ被告の側近だったトレス元法相、ネト元国防相ら8人も出廷する。9日から13日までの5日間で被告人質問が行われ、ブラジル全土に中継される。
ボルソナロ被告らには、2022年10月の大統領選挙でルラ大統領との決選投票に敗退後の、ルラ氏やモラエス最高裁判事の暗殺計画への容疑が掛けられた。また23年1月にボルソナロ被告の支持者ら数千人が、連邦議会や最高裁などの三権を襲撃した事件への関与も疑われている。
検察当局は、いずれの件にもボルソナロ被告が関与もしくは事情を知る立場にあったとしている。
しかし、ボルソナロ被告の弁護側は「被告は政権交代に協力的だった」と無罪を主張。また検察当局が最高裁に提出した証拠が開示されていないとして、裁判の正当性に疑問を投げ掛けている。
今回の被告人質問は、ゴネト検事総長や被告側の弁護士が行う予定。
9日の公判初日は、弁護側が公判準備のため、開始時間を遅らせるように求めたが、モラエス最高裁判事が却下する一幕もあった。今回の公判の報告者を、事件の関係者であるモラエス判事が担当していることに、公平性などを疑う声も上がっている。
裁判は年内にも結審するものとみられており、有罪となればボルソナロ被告に最長で43年の禁錮刑が下される可能性がある。