【サンパウロ綾村悟】ブラジル労働検察庁は27日、中国電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)と工場建設下請け1社について、中国からブラジルに連れてきた労働者を「奴隷のような状態」で働かせ、国際的な人身売買に関与したとして2億5700万レアル(約66億8千万円)の損害賠償などを求め提訴した。
労働検察庁は昨年12月、連邦警察などとともに、BYDがバイア州に建設中の工場予定地で、「奴隷状態」で働いていた中国人労働者220人を救出した。衛生状態が悪い環境で長時間働かされており、暴力を受けていたとの通報もあった。
提訴を受けてBYDは、捜査に協力し、今後は人権順守を約束するとのコメントを発表した。
だが工場建設に従事していた中国人労働者は、適切な労働ビザ(査証)を所有せず、パスポートを取り上げられるケースもあり、同庁は国際的な人身売買にも相当すると批判していた。
建設中のBYDの工場は、中国国外として最大。ブラジルは、BYDが年間5万台以上を販売する海外最大の市場となっている。