【サンパウロ綾村悟】ブラジル環境・再生可能天然資源院(IBAMA)は19日、石油公社ペトロブラスのアマゾン川河口での海底油田開発計画案を承認した。ブラジルのフォーリャ紙などが報じた。
アマゾン熱帯雨林の東端に位置するアマパ州の沖合で調査が行われる。試掘や開発中の原油漏出など緊急時の対応と環境保護に向けたシミュレーションも行われる。
同地には、ブラジル有数の海底油田が眠っていると推定され、同国を世界有数の産油国に押し上げる可能性がある。
ただし、アマパ州沖合には、「海洋生物学の奇跡」とも言われるサンゴ礁の「アマゾン礁」があり、環境破壊を恐れたIBAMAや環境保護団体が試掘に反対してきた。
また、環境保護活動家として名高いマリナ・シルバ環境・気候変動担当相も、「極めて繊細で重要な生態系が破壊されかねない」として開発に強く反対している。
一方、同地での海底油田開発が経済成長やエネルギー政策の鍵を握るとみるルラ大統領は、「IBAMAは政府の意向に反発している」などと批判し、圧力をかけてきた。
アマパ州と国境を接するガイアナとスリナムでは、海底油田による原油ブームが起きており、南米貧困国の一つだったガイアナは、国民一人当たりの収入が南米で最も多い国となるまでに急成長している。