
【サンパウロ綾村悟】アマゾン熱帯雨林の森林破壊を監視している「マップバイオマス」は15日、ブラジル全土における昨年の森林破壊面積が前年比で32・4%減少したとする年次報告書を発表した。
ルラ政権は、2030年までにアマゾン熱帯雨林の森林破壊をゼロにすることを公言している。森林破壊面積の減少は2年連続、違法伐採の監視・摘発に向けた予算増強などの効果が出ているものと捉えられている。
一方、昨年は、6年ぶりにブラジルが有する全ての生物群系(バイオーム)で森林破壊が減少した。ブラジルには世界最大のアマゾン熱帯雨林以外にも、世界最大の湿原パンタナルやセラード(中央高原)、大西洋岸森林、カーチンガ(有刺灌木林)、パンパ(南部草原)が存在、どれもが世界有数のバイオームとして、生態系の維持と地域気候の安定に寄与している。
ただ、減少したとはいえ、昨年はブラジル全土で1日平均で3400ヘクタールもの原生林が失われている(東京ドームは4・7ヘクタール)という。
マップバイオマスによると、2019年から24年までにブラジル全土で失われた原生林は、韓国全土の面積にも匹敵すると指摘、その98%が農地の開墾などを目的とした開発行為だ。また、喪失した原生林の約3分の2がアマゾン熱帯雨林に集中している。