【サンパウロ綾村悟】ブラジル有数の観光都市リオデジャネイロで、アパートの住民が生活の安全確保のため、麻薬密売組織への「安全保障料」納入に向けた住民投票を行おうとしていたことが分かり、警察が捜査を開始した。同国のフォーリャ紙(電子版)などが報じた。リオデジャネイロ市警察当局によると、市内北部マドゥレイラにあるアパートの住民たちが、地域を支配する犯罪組織・第三コマンド(TCP)から生活上の安全を担保される代わりに、一戸当たり毎月331レアル(約8600円)の「安全保障料」を要求されていた。アパート管理者の要請により、緊急の住民投票が13日に行われる予定だった。住民への配布資料によると、近隣のアパートでは「安全保障料」未納の場合、「見せしめ」として強盗や無断侵入などの被害に遭っていた。地域住民へのこうした脅迫は常態化しているという。
ブラジルのメディアは、大都市で犯罪組織が地域を支配し、こうした保証金を、電気代や水道料金などと同様に一種の公共料金化させている実態を懸念している。警察当局の捜査では、アパートの管理者を証人として近く出頭させる予定だという。