【サンパウロ綾村悟】カリブ海の島国ハイチ中部のミバレ市で3月31日、武装ギャングが警察署と刑務所を襲撃、収監されていた囚人500人が刑務所から脱走した。
ミバレは、首都ポルトープランスと隣国ドミニカ共和国の間に位置する交通上の要衝。ハイチ当局は、現地に治安部隊を送って事態の収拾に当たっているが、住民がパニック状態に陥るなど混乱が続いている。
ハイチでは、武装ギャングによる凶悪犯罪が蔓延(まんえん)、昨年は民間人を含む約5600人が死亡、1492人が身代金目的で誘拐されている。
誘拐は武装ギャングらの資金源となっており、過去には米国の宣教師グループが拉致されたこともある。また、昨年3月には首都の警察、刑務所や空港などを相次いで襲撃、4000人近くの囚人が脱獄する事件を発生させた。
こうした中、昨年6月には国連安保理決議により、ケニアの国際治安部隊が派遣され、ハイチの地元警察を支援している。
だが現状は、首都を含むハイチ全土の約8割が武装ギャングに支配されており、国連のヘリコプターが彼らに銃撃されるなど、治安回復は多難だ。