
【サンパウロ綾村悟】南米ベネズエラの反米左派ニコラス・マドゥロ大統領は27日、ルビオ米国務長官が訪問先のガイアナで「ベネズエラが(隣国ガイアナに原油資源を求めて)軍事侵攻することがあれば、ベネズエラにとって悪い日になるだろう」「米海軍は強力でどこにでも派遣できる」などと発言したことに対して、同長官を「無能」などと激しく批判した。
ルビオ氏とガイアナのアリ大統領は同日、安全保障体制の強化に向けた協定を結んだ。
ガイアナでは、2015年に推定原油埋蔵量世界7位のクウェートにも匹敵する大規模な海底油田が発見され、米エクソンモービルや英BPなどが大規模な開発に携わっている。
海底油田の多くが、ベネズエラと国境を接するエセキボ地域に集中しており、ベネズエラが領有を主張している。エセキボ地域に関しては、ベネズエラとガイアナが領有権を争ってきたが、1899年の国際調停によりガイアナへの帰属が認められていた。
一方、ロシアからの軍事協力を受けるベネズエラは、ガイアナとの国境沿いに軍隊を派遣するなど緊張を高めており、3000人程度の国防軍しか持たないガイアナは、英国による軍事艦艇の派遣や米国によるガイアナ沖での海上パトロールなどに頼っているのが現状だ。
こうした中、今回の米政府とガイアナとの協定は、米国が産油国ガイアナの安全保障に積極的に関与していく姿勢を表したものと捉えられている。