【サンパウロ綾村悟】南米アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで12日、年金生活者とサッカーファンによる大規模な反政府デモが行われた。
年金生活者らは毎週水曜、国会議事堂前の広場に集まり、年金の増額や安価な医療を求める抗議デモを行っているが、先週からサッカーファンや野党党員、労働組合関係者らが加わるようになっていた。
デモは従来、平和的に行われてきたが、12日は一部のデモ参加者が警官隊に向け投石し、これに対して警官隊が催涙ガスやペレットを発射し応戦、逮捕者も出る事態へと発展した。
アルゼンチンでは保守政策を進めるミレイ大統領が、通貨の切り下げ、公共事業の削減などを通じてインフレ抑制、均衡財政の実現に成功しているが、一方で、貧困層の拡大や年金額の実質的な目減りに対する不満の声も上がっている。
12日のデモでは、取材中の国内カメラマンが、催涙ガス弾の直撃を頭に受け、意識不明の重体になる事件も発生した。同国の報道写真家協会は13日、事態の再発防止を求めると同時に、ブルリッチ治安相の辞任を求める声明を発表した。