【サンパウロ綾村悟】カリブ海諸国のキューバが、10日までに政治犯553人を釈放していたことが分かった。キューバでは、1961年からキューバ共産党による独裁体制が敷かれている。
政治犯の釈放は、カトリック教会が仲介する形で、バイデン前米政権とキューバ政府が合意に達していたもの。政治犯の釈放に応じる見返りとして、米側は対キューバ制裁を解除する予定だった。
だが、トランプ大統領は1月の就任後にキューバ政策を変更、制裁解除の見直しと合意実施の一時凍結を求めている。
釈放された政治犯の多くは、2021年の新型コロナウイルスが感染拡大する中で発生した大規模デモに参加した人々。
同国では21年7月、食料や電力の不足、深刻なインフレに端を発した数千人規模の反政府デモが国内各地で発生し、多くの逮捕者を出した。
デモは一部で暴徒化し、警察車両が破壊されたほか、国営商店も襲撃された。当時、キューバ政府は「反政府デモを背後で扇動したのは米国だ」と厳しく非難していた。