【サンパウロ綾村悟】トランプ米大統領が所有するメディア企業などが19日、ブラジル最高裁のモラエス判事をフロリダ州タンパの米連邦地方裁判所に提訴した。提訴したのは、トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)と、同社と提携する動画共有サービス「ランブル」の2社。
モラエス判事は、数年前からボルソナロ前ブラジル大統領を支持するブラジル右派がランブルで公開している特定アカウントの閉鎖を命令してきた。
モラエス氏は今年に入り、元司祭のブラジル人で保守系ジャーナリストのアラン・ドス・サントス氏のアカウントを閉鎖するようにランブルに命令。従わない場合は1日当たり9000㌦の罰金とブラジル国内でのランブルへの接続停止を行うと警告している。
TMTGとランブルは、これらの命令が米国の主権と言論の自由を定める米憲法に違反しており、「ランブルのブラジルでの活動に影響を与えるいかなる法的行為もTMTGへの被害と捉える」(TMTG社)と主張している。
ランブルは「ブラジル司法の保守派に対する検閲行為に耐えられない」として、23年末にブラジルから撤退した。ただし、現在もブラジル国内からの動画の投稿や閲覧は可能。
今回の提訴は、ブラジル連邦警察が18日にボルソナロ前大統領をクーデター未遂などの容疑で最高裁に提訴した直後に行われており、トランプ大統領によるボルソナロ氏とブラジル保守派への支援の側面が強いとみられている。