【サンパウロ綾村悟】ブラジル北東部アマパ州沖の海底油田開発を巡り、開発派のルラ大統領が12日、慎重派の環境・再生可能天然資源院(IBAMA)に対して苦言を呈する一幕があった。
アマゾン川の河口に位置するアマパ州の沖合には、大規模な海底油田が眠っていると推定されており、ブラジルを世界有数の産油国に押し上げる可能性があるとも言われる。そのため、ブラジルの石油公社ペトロブラスは、何年も前から同地域での試掘を求めてきた。ただし、同海域には、「海洋生物学の奇跡」とも言われるサンゴ礁の「アマゾン礁」があり、IBAMAは貴重な自然環境が破壊されかねないとして試掘に厳しい条件を付けて拒んできた。経済成長の鍵を握る海底油田開発を急ぎたいルラ氏は12日、「エネルギー政策の鍵を握る膨大な富を見逃すわけにはいかない」「IBAMAは政府機関だが、政府の意向に反発している」などと主張、環境保護優先のIBAMAに圧力をかけている。
アマパ州と国境を接するガイアナとスリナムでは、海底油田による原油ブームが起きており、貧困国だったガイアナは南米で最も裕福な国(国民1人当たり)となるまでに急成長している。