
【サンパウロ綾村悟】トランプ米大統領が同国に輸入される鉄鋼・アルミニウムに25%の関税を課すと発表したことを受け、ブラジル政府は10日、米国のハイテク企業に報復課税を検討しているとフォーリャ紙(電子版)が報じた。政府関係者が匿名を条件に同紙に明かした。
課税対象としてはIT大手のアマゾンやグーグル、フェイスブックなどが検討されているようだ。しかし、輸出品への打撃は免れず、世界向け鉄鋼輸出の48%を米国市場に依存しているのが現状だ。
一方、米国のハイテク企業にとって、世界有数のSNS(ソーシャルメディア)利用国であるブラジルは最大市場の一つ。それらハイテク企業に課税した場合は、米国との関税戦争に突入する可能性もあり、ブラジル政府には慎重な判断が求められている。
トランプ氏の発表には、ドイツやフランスなど、欧州各国が反発する一方、対豪州では貿易黒字により関税免除で合意するようだ。鉄鋼に関しては、中国やロシアが「ダンピング課税」などを避けるため、カナダやメキシコを経由して加工製品を米国に輸出しており、米国は構造用鋼材など、鉄鋼・アルミニウムの加工済み製品にも課税の方針を明らかにしている。