【サンパウロ綾村悟】南米コロンビアの反米左派ペトロ大統領の麻薬をめぐる発言が波紋を呼んでいる。
ペトロ大統領は4日、閣僚会議で「コカインはウイスキーほど有害ではない。科学的にも証明されている」「コカインが有害とされているのは、それが中南米産だからだ」などと発言した。閣僚会議はインターネットで中継され、全ての国民が見ることができた。
また、「コカインを世界中で合法化すれば、コカインに絡む麻薬密売を根絶できる」と訴えた。
コロンビアは、世界最大のコカイン生産・輸出国。コカインはコカの葉から生成されるが、同国での作付面積は過去最高を更新し続けており、左翼ゲリラや犯罪組織の資金源となっている。
近年は、コカイン輸出をめぐる国境を越えた犯罪も急増し、隣国エクアドルでは、麻薬密売組織による凶悪犯罪増加への対応が、大統領選挙の争点になったほどだ。
ペトロ氏は、2022年の大統領就任時にも、コカインの合法化や政府によるコカイン市場の統制などを検討したとされる。
ただし、コカインの合法化や取り締まりの緩和は、麻薬常習者の急増など破滅的な結果にもつながりかねないと懸念する声も上がっており、ペトロ氏の発言はコカインと犯罪組織の流入に苦しむ近隣諸国や米国の反発を集めそうだ。