【サンパウロ綾村悟】南米エクアドルで9日に現職の右派ダニエル・ノボア大統領(37)の任期満了に伴う大統領選挙が実施される。任期は4年。
選挙は、16人が立候補する乱戦となっているが、実質的には再選を狙うノボア氏と左派ルイサ・ゴンザレス前国会議員(45)の一騎打ちとなっている。
最新の世論調査からは僅差でのノボア氏が伝えられるが、調査会社によってノボア氏とゴンザレス氏の優劣が分かれている。第1回投票では決着がつかずに決選投票入りとなる公算が大きい。決選投票は4月13日に行われる。
実業家出身のノボア氏(元国会議員)は、エクアドルの「バナナ王」ことアルバロ・ノボア氏の息子。前回の大統領選挙では泡沫(ほうまつ)候補の一人だったが、左派コレア元大統領からの支持を受けたゴンザレス氏と決選投票を争い、大接戦の上に勝利した。
大統領選挙の争点となっているのは、麻薬犯罪組織の横行による治安悪化への対応と、深刻化する電力不足、財政と経済の悪化など。停電が日常化する中で電力不足への市民の不満は高まっているが、世論調査では、治安悪化への対応を次期大統領に求める有権者が最も多い。
エクアドルでは近年、隣国のコロンビアやペルーなどから麻薬犯罪組織が流入し、凶悪犯罪が急増している。前回の大統領選挙では、大統領候補が麻薬犯罪組織によって暗殺される事件も発生、選挙は厳戒態勢下で行われた。
ノボア氏は、国軍を利用した治安強化などで凶悪犯罪と犯罪組織に対応しているが、劇的な治安改善にはつながっていない。前回選挙のように、混戦の中でノボア氏とゴンザレス氏以外の候補が決選投票に向けて抜け出てくる可能性も示唆されている。