【サンパウロ綾村悟】ブラジルのルラ大統領は13日、公立と私立のいずれの学校でも携帯電話(スマートフォン)の利用を禁止する法案に署名、成立した。幼稚園から高校まで国内全ての学校が対象となる。同法案は、昨年12月までに国会を通過、後は大統領の署名のみ手続きが残されていた。グロボ紙(電子版)などが報じた。
法案では、授業中はもちろん、休み時間の携帯電話利用も禁止される。一方、授業や課外活動などで、教師が必要だと判断した場合には可能となる。ルラ氏は署名に際して、この法案には「生徒を思いやり、教育に真摯(しんし)に取り組む人々の願いが込められている」とその重要性に言及した。
現地報道によると、法案成立の背景の一つとして、携帯電話の利用時間が増加したことによる生徒の学習能力の低下があるという。
経済協力開発機構(OECD)加盟国が行った「生徒の国際学習到達度調査(PISA)」の結果によると、1日のうち携帯電話の使用時間が5時間を超える生徒は、利用時間が少ない生徒と比べて、著しく試験の点数が劣っていた。
学校での携帯電話利用に関しては、世界的にも禁止を導入する国や自治体が増えており、例えばイタリア、シンガポールが国家として学校での携帯電話利用を禁止している。