
【サンパウロ綾村悟】南米ベネズエラで10日、独裁体制を敷いている反米左派マドゥロ大統領の3期目の就任式が行われた。任期は6年。
昨年7月に実施された大統領選挙での勝利宣言に基づく就任だが、野党や欧米をはじめとする国際社会は選挙不正を指摘し、大統領就任に正当性がないと批判している。
大統領選挙は、実質的にマドゥロ氏と野党統一候補のゴンサレス氏による一騎打ちだったが、事前の世論調査ではゴンサレス氏が圧倒的に有利だった。
選挙後の野党側の独自集計でもゴンサレス氏が優勢だったが、選管は集票結果を公開することなく、一方的にマドゥロ氏の当選を発表した。欧米やブラジル、アルゼンチンなどの中南米諸国、国連が選挙結果の公開を求めているが、応じていない。
一方、マドゥロ政権側は、反政府デモを続ける反大統領派を弾圧、デモ参加者らを政治犯として拘束するだけでなく、野党指導者のマチャド氏や大統領候補のゴンサレス氏に対して逮捕状を出している。
長期政権の実現に向けて突き進むマドゥロ政権だが、就任式に参列した首脳は、キューバとニカラグアの2カ国のみ。いずれも独裁体制を敷く国だ。依然として厳しい経済状況が続く中、米国がマドゥロ氏逮捕に2500万㌦の賞金を懸けるなど、欧米は新たな制裁措置も発表しており、3期目のマドゥロ政権は厳しい船出を迎えている。