【サンパウロ綾村悟】ベネズエラ政府が6日、パラグアイとの断交を発表した。パラグアイが5日、昨年7月のベネズエラ大統領選で反米左派のマドゥロ大統領と一騎打ちを演じた野党統一候補のゴンサレス氏を、当選者と認めたことが断交の理由。
パラグアイのペニャ大統領は5日、ゴンサレス氏とオンラインで会談し、6日には同氏をベネズエラ大統領として公認すると声明を発表していた。同声明を受け、ベネズエラ政府は「内政干渉だ」と反発、国内駐在のパラグアイ外交団に対して引き揚げを命じていた。
ベネズエラ大統領選では、事前の世論調査で圧倒的な支持を得ていたゴンサレスの当選が確実視されていた。だが、選管はこれに反して反米左派で現職のマドゥロ氏の3選を発表した。マドゥロ氏の独裁政治が続くベネズエラでは、最高裁や選管が政権の影響下にある。
野党とその支持者らは、開票結果の公開やマドゥロ大統領の辞任を求めて反政府デモを繰り広げたが、政府側はこれを弾圧した。ゴンサレス氏は政治犯としての逮捕を逃れるため、スペインに亡命していた。
国連や米国、またブラジル、アルゼンチン、パナマなどの中南米各国が、選挙結果の公開などを求めてきたが、ベネズエラ政府は応じていない。
ベネズエラでは、マドゥロ大統領の就任式が10日に行われる予定だが、ゴンサレス氏もこの日に合わせ、ベネズエラ入りを模索している。
ゴンサレス氏はこれまで、支持を求めて米州各国を訪問し、6日には米国のバイデン大統領とワシントンのホワイトハウスで会談した。
バイデン氏は同日、X(旧ツイッター)に「ゴンサレス氏こそ(ベネズエラ大統領の)就任宣誓を行うべき」「ベネズエラ国民は真の勝者への平和的な権力移管を求める権利がある」などと投稿している。