【サンパウロ綾村悟】ブラジル上院は18日、全国の公立・私立学校で生徒による携帯電話の使用を禁止する法案を可決した。法案はすでに下院を通過しており、ルラ大統領の署名で成立する。大統領は署名する見通し。グロボ紙(電子版)などが報じた。
報道によると、法案には幼稚園から高校までが含まれており、すべての授業時間と休み時間での使用を禁止するが、教育上の目的など教師の許可があった場合には使用が可能となる。
一方、サンパウロなどブラジルの一部の州では、すでに同様の法案が通過している。サンパウロ州議会で先月14日に可決された条例では、携帯電話の使用を校内で全面的に禁止するほか、生徒は登校時に携帯電話を学校側に預けることになる(下校時に返却)。
法案を提出したアレッサンドロ・ビエイラ議員(ブラジル民主運動党)は、経済協力開発機構(OECD)加盟国による、「生徒による学習到達度調査(PISA)」の結果を法案支持の理由として挙げている。
調査によると、1日の携帯電話の使用時間が5時間を超える生徒は、1時間に満たない生徒と比較して集中力に欠け、著しく試験の点数が劣る傾向が見られるという。特に、算数や数学でその傾向が顕著になる。
学校への携帯電話の持ち込みや使用に関しては、世界的にも学校での使用禁止を導入する国や自治体が増えており、すでにイタリアやオランダ、シンガポールなどが学校への携帯電話持ち込みなどを禁止する措置を導入している。