【サンパウロ綾村悟】南米パラグアイ外務省は5日、中国の外交官が「内政干渉」に相当する行為を行ったとして、24時間以内に国外退去するように命令したと発表した。パラグアイのABC紙(電子版)などが報じた。
現地メディアによると、退去命令を受けたのは中国の中南米担当の外交官。外交官は、首都アスンシオンで開催された国連教育科学文化機関(ユネスコ)の会合に出席するために、中国訪問団の一員としてパラグアイを訪問していた。
しかし、滞在中にパラグアイ議会を訪問、議員に対して中国との国交樹立による貿易上のメリット(パラグアイは大豆などの主要輸出国)を強調すると同時に「中国とパラグアイのどちらかを選ぶ必要がある」などと発言、発給ビザから逸脱した行為を行った。
パラグアイは、南米で唯一台湾と外交関係を結んでいる国で中国との外交関係はない。中国政府は近年、ワクチン外交などを通じて外交攻勢をかけており、近年は中国への輸出拡大やインフラ投資などを持ちかけてパラグアイ国内の切り崩しを図っている。
中国外務省は6日、報道官を通じて「事実無根で根拠のない命令だ」とパラグアイ政府を批判する声明を発表、内政干渉の意図はなかったと主張している。
パラグアイのチェイス上院議員は「台湾は自由民主主義の砦(とりで)だ」と主張、台湾との国交継続の重要性を強調している。