【サンパウロ綾村悟】南米ベネズエラの国会は28日、米国などによる対ベネズエラ制裁を支持した人物に対して、禁錮刑や公職からの追放を行える法案を可決した。法案は、19世紀に南米の独立運動を率いた英雄の名を冠し「シモン・ボリバル自由法」と名付けられ、国外に滞在する場合にも訴追可能となっており、最大で禁錮30年、もしくは公職追放60年が科せられる。
また、制裁を支持したメディアにも罰則が科される可能性もある。ベネズエラでは、今年7月に大統領選挙が行われ、反米左派マドゥロ大統領が3選したが、開票過程などに疑惑が持たれており、反大統領派が選挙結果の見直しなどを求める反政府デモを繰り広げてきた。現在、スペインに亡命している野党大統領候補のゴンサレス氏は、独自に大統領就任を発表しており、来年1月の大統領就任式に合わせてベネズエラに帰国する計画を示唆している。
今回の法案は、野党勢力による反対活動を牽制(けんせい)する効果を狙ったものとみられる。ベネズエラでは、反政府デモへの参加は「反逆罪」などの容疑で拘束されることも多く、現在も1000人以上の野党関係者や反政府デモ参加者が政治犯として投獄されている。