【サンパウロ綾村悟】ブラジルのルラ大統領は20日、首都ブラジリアで中国の習近平国家主席と会談した。両首脳は貿易などの分野で戦略的な協力関係構築に合意したが、ブラジルによる中国の巨大経済圏構想「一帯一路」への参加は見送られた。地元メディアによると、両首脳は貿易や技術協力の推進など37件の文書に署名した。中国はブラジルの総貿易量の3割近くを占める最大の貿易相手国だ。
ルラ氏は親中派として知られており、ウクライナ問題においても中国と共同で和平案を提案するなど、経済・外交の両面で緊密な関係を構築している。ただ、一帯一路への参加に関しては、ブラジル外交の基本でもある「中立性」を堅持したものとみられる。
近年、中国は中南米への影響力強化を進めており、アルゼンチンやペルーを含む中南米22カ国が一帯一路に参加している。
14日には、太平洋に面したペルー西部のチャンカイにおいて、中国資本が参加する巨大港湾の完成式典が行われた。式典には習氏も参加した。
同港湾施設は、超大型コンテナ船が利用できることから中国と中南米の貿易拡大に大きな効果が期待されるが、一方で中国政府系資本が過半数を超えることから、中国の軍艦が寄港する軍事施設としての利用が懸念されている。