【サンパウロ綾村悟】G20サミットが18日に開幕したブラジルで、同国左派のルラ大統領とアルゼンチン右派のミレイ大統領の「冷たい関係」が注目を集めている。リオデジャネイロのG20サミット会場では、議長国ブラジルのルラ大統領夫妻が各国首脳を出迎えた。米国のバイデン大統領や中国の習首席などを、終始笑顔で出迎えていたルラ氏だが、ミレイ氏を出迎えた際に笑顔が消えた。
ブラジル大統領府が公開した記念写真でも、ルラ氏とミレイ氏の写真にだけは笑顔がなく、特にルラ氏の険しい顔付きが印象的だった。
ルラ氏とミレイ氏は、犬猿の仲とも言われる。昨年11月のアルゼンチン大統領選の際、ミレイ氏はルラ氏を「怒れる共産主義者」と批判、ルラ氏が謝罪を要求するもミレイ氏は「事実だ」と一蹴した。
その後もミレイ氏は、今年7月のブラジル訪問時にルラ氏を表敬しなかった一方、ボルソナロ前大統領と面会するなど、ルラ氏の神経を逆なでしてきた経緯がある。
「アルゼンチンのトランプ」とも呼ばれるミレイ氏は、トランプ米次期大統領が当選後に面会した唯一の首脳。環境問題など多くの政策面でトランプ氏と一致している。
今回のG20でも、首脳宣言採択に向け、ルラ氏が重視する貧困やジェンダー平等、偽ニュース対策などで、アルゼンチンの存在がブラジル代表団には頭痛の種になっている。
ブラジルのフォーリャ紙は18日、首脳宣言文の速報版を入手すると、超富裕層への課税案をはじめとする多くの文言で、アルゼンチン代表団との調整難航について報じた。