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【サンパウロ綾村悟】欧州連合(EU)欧州議会は24日、人権や思想の自由擁護に献貢献した個人や団体をたたえる2024年の「サハロフ賞」をベネズエラの野党指導者のマリア・コリナ・マチャド氏と7月の大統領選挙に野党統一候補として出馬したエドムンド・ゴンサレス氏に与えると発表した。授賞式は12月18日に行われ、副賞として5万ユーロ(約820万円)が授与される。
南米のベネズエラでは、反米左派マドゥロ大統領が強権政治を敷いており、その政治的影響力は最高裁や選管にまで及ぶ。7月に実施された大統領選挙では、事前の世論調査などからゴンサレス氏の圧勝が予想されたが、詳細な開票速報もない中で選管がマドゥロ氏の当選を発表した。
欧米諸国やブラジル、アルゼンチンなどの中南米諸国が集計結果の公表を求めたが、ベネズエラ政府と選管はこれまでに公表に応じていない。また、大統領選挙のやり直しやマドゥロ氏の退陣を求める民主化デモに対して政府側は強権を発動、「国家反逆罪」などの名目で2000人以上のデモ参加者や野党関係者が拘束された。マチャド氏も、当局の拘束を恐れて潜伏などを余儀なくされていた。
一方、ゴンサレス氏は8月、野党独自の集計結果を元に大統領就任を公表したが、政府側は「扇動」の罪などで逮捕状を請求、9月初旬にスペインに亡命した。
マチャド氏とゴンサレス氏へのサハロフ賞授与は、公正かつ自由な選挙を求めて戦ったベネズエラの人々に対する欧州議会の評価でもある。
サハロフ賞は、旧ソ連の理論物理学者で、反体制・人権活動家としてソ連の改革を主張し、「ペレストロイカの父」と呼ばれたアンドレイ・サハロフ博士に由来する。