【サンパウロ綾村悟】アマゾン環境研究所(IPAM)は18日、ブラジル内陸中西部に広がるセラード(サバンナ地帯)での違法伐採や森林火災による環境破壊が進んでおり、昨年1月から今年7月までの間に1億3500万㌧に相当する温暖化ガス(主に二酸化炭素)が排出されたとの報告書を発表した。ブラジルの工業部門が1年間に排出する温暖化ガスの1・5倍に相当するという。政府系ブラジル通信が報じた。
IPAMは、欧州宇宙機関(ESA)の協力を得て、人工衛星でセラードでの違法伐採などを監視しており、森林の消失量などに関して詳細な数字を把握している。
セラードは、ブラジルではアマゾン熱帯雨林に次ぐ生態系を有するが、現在最も自然環境破壊が進んでいる地域でもある。面積は日本の総面積の5倍に相当する2億㌶。また、国内最大の大豆の生産地として知られ、今も開発が続いている。
一方、近年の研究では、気候変動や違法伐採、森林火災の影響を受けてサバンナの砂漠化が急速に進んでいることが分かっている。
現在、ブラジルは歴史的な干ばつと熱波に襲われており、森林火災の被害にも直面しているが、気象問題の専門家は、セラードの乱開発がこれ以上進めば、熱波を含む異常気象がさらに加速する可能性があると警告している。