【サンパウロ綾村悟】28日に行われたベネズエラ大統領選挙で、選挙戦中終始劣勢だった反米左派の現職マドゥロ大統領が3選を決めたことに対して、首都カラカスを含む国内各地で30日も、選挙の見直しやマドゥロ氏の退陣などを求める大規模な反政府デモが行われた。
選挙前の世論調査や投票後の出口調査では、野党候補のエドムンド・ゴンサレス氏が圧倒的な支持を獲得していた。野党陣営は30日、集計記録の80%以上を独自精査した結果、ゴンサレス氏の得票率が70%に達していたと発表、同氏の当選を主張している。野党側の動きに対して、政権側は「野党指導者を逮捕すべきだ」(ロドリゲス国会議長)などと弾圧の姿勢を強めている。
国外からも、選挙結果見直しへの圧力が強まっている。ペルー政府は30日、「国民の意思に背く行為は許されない」(同国外相)として、ゴンザレス氏の勝利を承認した。ペルーは、同氏の当選を公式に認めた初めての国だ。
また、米国のバイデン大統領とブラジルのルラ大統領は30日、電話協議を行い、ベネズエラ政府に対して、速やかに集計結果を公開することなどを求めていくことで合意した。
一方、米州34カ国で構成されている国際機関、米州機構(OAS)は30日、ベネズエラ選管が発表した選挙結果は認め難いとの見解を発表した。OASは、31日にベネズエラ情勢を巡る緊急会合を開催する。
反政府デモや国際社会からの圧力が強まる中、軍や選管、検察などを影響下に置くマドゥロ政権は、強権的にマドゥロ大統領の3選を既成事実化しようとしている。ただし、今回の選挙に関しては、南米左派のチリやブラジル、コロンビアからも選挙結果の見直しを求める声が上がっている。