【サンパウロ綾村悟】ベネズエラ選管(CNE)は29日、前日実施された大統領選挙を巡り、反米左派の現職ニコラス・マドゥロ大統領(61)の当選を承認した。一方、野党陣営は、独自情報を基にエドムンド・ゴンサレス候補(74)の勝利を主張している。選挙不正を主張する反政府デモが国内各地に広がっており、国民の間に亀裂が広がりつつある。
ベネズエラ選管は28日、マドゥロ氏の得票率51%、ゴンサレス氏44%と発表、マドゥロ氏の当選を確定させた。これに対して、野党指導者のマリア・コリナ・マチャド氏らは29日、全国各地の投票所から独自に集めた集計結果を基に、ゴンサレス氏が73%以上の票を獲得した証拠を入手したと主張している。
現地からの報道によると、有権者らによる選挙批判のデモが国内各地に広がっており、首都カラカスではデモ隊と警官隊が衝突。少なくとも2人の死亡が確認されている。
また地方都市からは、デモ参加者が、ベネズエラの反米左派の象徴でもある故チャベス元大統領の立像を、台座から引き倒す様子なども伝わっている。
こうした中、選挙の公正と透明性を求める独立系や海外の選挙監視団体に加えて、国連などが選挙結果の公表を求めている。選管は28日の投開票時に外部からのハッキングを受けたと主張、法律で定められている開票結果の公表を拒否している。
選挙結果について、すでにロシアや中国、メキシコなどがマドゥロ大統領の3選を認めている。一方、米政府関係者は、「不正な選挙操作が行われた可能性が高い」と批判、投票結果の公開を求めている。欧州連合(EU)やブラジル、アルゼンチンなど中南米の主要国も、選挙結果を認めない方針を明らかにした他、パナマはベネズエラに対する外交方針の見直しを発表した。
さらに、米国をはじめとする10カ国以上の米州機構(OAS)加盟国が緊急動議を求めており、ベネズエラの大統領選は、地域の安定をも脅かす問題となりつつある。