ベネズエラ 反大統領派は反発
【サンパウロ綾村悟】南米ベネズエラの選管当局(CNE)は28日、同日投開票が行われた大統領選挙で、現職の反米左派ニコラス・マドゥロ大統領(61)の当選を発表した。マドゥロ氏は3選目、任期は6年。
選管によると、開票率80%の時点でマドゥロ氏の得票率は51%、野党連合から出馬している元アルゼンチン大使エドムンド・ゴンサレス氏(74)は44%だった。大統領選挙には10人が出馬していた。マドゥロ氏は選管の発表を受けて勝利宣言を行った。
一方、野党連合は、ゴンサレス氏と野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏(56)が記者会見を行い、出口調査の結果などを基にゴンサレス氏の当選を主張した。ゴンサレス氏は、「(選挙結果は)国民と世界が知っている」と言明、選管に対して全ての票と開票作業の公開を求めている。
現地からの報道では、開票作業を監視する予定だった野党関係者が、多くの場所で開票場への立ち入りを禁止されたなどと選管の対応を批判しており、開票作業の透明・公正性に対して疑念が抱かれている。
世論調査会社エジソン・リサーチの出口調査によると、ゴンサレス氏の得票率は65%でマドゥロ氏の31%を圧倒していた。選挙前の世論調査においても、ゴンサレス氏の支持率は50%から70%とマドゥロ氏を引き離しており、圧勝が予想されていた。
ベネズエラでは、四半世紀にわたって反米左派政権が続いており、最高裁や選管も強権的なマドゥロ政権の影響下にある。
選管の発表を受けて、海外から批判や懸念の声が上がっており、米国などが集計結果の公表を求めている。
ブリンケン米国務長官は「(選管の発表が)ベネズエラ国民の意思や投票を反映していないことに深刻な懸念を抱いている」と表明、アルゼンチンの右派ミレイ大統領は、X(旧ツイッター)で「独裁者のマドゥロは(権力の座から)出ていけ」と選挙結果を厳しく批判した。
ベネズエラ選管の発表には、南米の左派からも懸念の声が上がっており、チリの左派ボリッチ大統領も選挙結果を認め難いと批判している。