トップ国際中南米大戦中の日本移民迫害を謝罪―ブラジル 6500人を強制退去、資産没収

大戦中の日本移民迫害を謝罪―ブラジル 6500人を強制退去、資産没収

5 日 、 ブ ラ ジ リ ア で 、 ブ ラ ジ ル 政 府 に よ る 謝 罪 後 に 日 本 と ブ ラ ジ ル の 国 旗 を 振 る 傍 聴 者 ら ( 時 事 )

【サンパウロ綾村悟】第2次世界大戦中にブラジルへの日本移民6500人が収容所などに送られていた件で、ブラジル政府は25日、首都ブラジリアで政府の諮問機関「恩赦委員会」を開き、戦中戦後の日本移民に対する迫害に対して同国政府として公式謝罪を行った。全会一致で決議され、ブラジル政府による日本移民への謝罪は初めて。

今回の謝罪は、主にブラジル沖縄県人会が中心となって求めていたもの。恩赦委員会のアルメイダ委員長は「日本移民に対する迫害に対するブラジル政府の過ちを認め、政府を代表して謝罪する」と表明、日本語でも「先祖迫害の許しを求めます」と述べた。

ブラジルの各メディアは、決議後にアルメイダ委員長と沖縄県人会の代表らが和解の握手を行い、会場に詰め掛けた日系人がブラジルと日本の国旗を振りながら、戦後80年近くを経て日本移民の尊厳を取り戻したことに喜ぶ様子などを報じた。

ブラジル政府が謝罪したのは、戦中戦後の2件の出来事。1943年に南東部の港湾都市サントスの日本移民を対象に、スパイ容疑などの疑いで強制退去を命令、6500人が財産を没収された上で収容所に送られた。没収された財産は解放後も戻っていない。また、戦後も日本が戦争に勝利したと主張する「勝ち組」と呼ばれる人々をテロ容疑などで摘発し、172人をアンシェッタ島の監獄に収監した。拷問を受けて自殺した日本移民の若者もいた。

2002年に設置された恩赦委員会は、主に戦後1946年以降のブラジル独裁・軍事政権下で起きた人権侵害などを調査して謝罪や補償を行う。

08年に始まったブラジルへの日本移民は戦後まで続き、現在は世界最大の200万人を超える日系人コミュニティーがある。移住地の厳しい生活を乗り越えながら各界で活躍する人材を輩出、「ジャポネーズ・ガランチード(日系人は信用できる)」とまで呼ばれるほど社会的信用を築き上げている。

第2次大戦中の日本移民迫害に関しては、米国とカナダが88年に謝罪し、補償も行っている。今回のブラジル政府の公式謝罪では、ブラジル沖縄県人会などが補償を求めない意向を明らかにしていた。

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