【サンパウロ綾村悟】ブラジル国立宇宙研究所(INPE)は2日、今年前半に世界最大の湿原パンタナルで火災によって、52万ヘクタールが消失したことを明らかにした。政府系ブラジル通信が報じた。
INPEによると、これは1988年に人工衛星による観測が始まって以降、最悪のペースで、千葉県の面積を超える。火災のほとんどは、開発のための「野焼き」が引き起こしたもの。
現地では、地元消防士に加えて全国各地から応援の消防士が到着、ブラジル政府の支援を含めた消火活動が行われているが、今年は乾燥による延焼などが続いており、消火活動は困難を極めている。
気象専門家によると、ブラジルではエルニーニョ現象の影響で全国規模で気温が上昇しており、その影響で中部(特にパンタナルがある中西部)で乾燥が進んでいる。パンタナルはこれから本格的な乾期を迎えるが、今年は雨期の降雨量が少なく、過去にない規模の火災が世界有数の生態系に与える影響が懸念されている。