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南米ボリビアでクーデター未遂 首謀者の前軍司令官逮捕

6日、ボリビアの事実上の首都ラパスのムリジョ広場 周辺に集まった兵士(AFP時事)

【サンパウロ綾村悟】南米ボリビアの事実上の首都ラパスで26日午後3時ごろ、軍の一部が左派アルセ政権の転覆を図って大統領官邸などを襲撃したが、クーデターは未遂に終わった。首謀者の前軍司令官は逮捕された。

クーデターを試みたのは、フアン・ホセ・ズニガ前軍司令官。現地からの映像では、装甲車が大統領官邸に突入している様子や、軍部隊が官公庁が集まる広場を占拠している様子が映っている。

政権交代などを求めるズニガ氏と大統領官邸内で対面したアルセ大統領は、武装封鎖を解除して基地に戻るよう求めた。反米左派のモラレス元大統領や右派のアニェス前大統領らもクーデターの不支持を表明。ズニガ氏らは同日午後6時ごろに大統領官邸から退いたという。ズニガ氏は、政権転覆を企てた容疑で逮捕された。

一方、大統領官邸近くでは、クーデターに反対する市民らが、バリケードなどを築いて軍部隊に激しく抵抗していた。

アルセ大統領は26日夜、国民に向けて「民主主義の勝利だ」と宣言し、クーデターに反対した国民らに向けて感謝の言葉を述べた。

ズニガ前軍司令官は、アルセ大統領や反米左派モラレス元大統領と同じ左派政党・社会主義運動(MAS)を支援していたが、モラレス氏が2025年の大統領選挙に出馬宣言していることを厳しく批判し、「出馬すれば逮捕する」などと発言。それによって先週、軍司令官を解任させられていた。

モラレス氏の後継者であるアルセ大統領だが、就任後はモラレス氏を批判する立場を取っていた。ただし、軍関係者による行き過ぎた政治発言は認めなかった。

モラレス氏は、今も先住民や貧困層などを中心にカリスマ的な人気を集める政治家だが、憲法は大統領の3選を禁止しており、モラレス氏に出馬する権利はない。

モラレス氏は19年大統領選の開票作業で不正行為を行ったとして、後ろ盾となっていた軍部や警察が離反し、大統領を辞任してアルゼンチンに亡命していた。その後、左派アルセ氏の当選を受けて帰国した。

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