【サンパウロ綾村悟】南米エクアドル外務省は18日、中国との短期ビザ相互免除措置を7月1日から一時停止すると発表した。
ビザ免除措置を利用し、エクアドルからコロンビア、パナマ、メキシコを陸路で経由して、米国への密入国を図る中国人が増えている。今秋に大統領選を控える米国で、不法移民が大きな社会問題となっていることもあり、今回の対応となったものとみられる。
エクアドルではこれまで、中国人に対して90日までの滞在にビザを免除していた。エクアドル外務省は、「90日の滞在期間を過ぎても、エクアドルからの出国記録がない中国人が増えている」と指摘。昨年から今年にかけて入国した中国人のうち、約半数に上る3万2千人の出国記録が見当たらないとしている。一方で米国は、昨年だけで3万人を超える中国人をメキシコとの国境で拘束している。
中南米諸国では、エクアドルとスリナムだけが中国人渡航者に対するビザ免除措置を行ってきた。
中国外務省は18日、「中国はあらゆる密入国や人身売買に強く反対しており、関係国と密入国防止に向けた取り組みを行っている」との談話を発表している。