【サンパウロ綾村悟】ブラジルのシルバ環境・気候変動相は9日、「アマゾン熱帯雨林」の森林破壊が前年比で21・9%減少したと発表した。シルバ氏が発表したデータは、人工衛星でアマゾン熱帯雨林などブラジル各地の状況を監視しているブラジル国立宇宙研究所(INPE)が最近まとめたもの。INPEによると、22年8月から23年7月までの1年間で、森林破壊が前年同期比21・9%減少した。一方、世界最大の湿地帯として知られブラジル中西部に位置するパンタナール湿原での森林破壊も同期間で9・2%減少した。
シルバ氏は、森林破壊の減少は、現政権が省庁の垣根を払って取り組んでいる環境保全政策の成果によるものだと説明、さらに「継続することが何よりも大事だ」と強調した。 ただし、現在も年間9064平方㌔と東京都の全面積(2194平方㌔)をはるかに超える森林が消失している。環境問題の専門家は、アマゾン熱帯雨林が、森林としての機能を維持できなくなる「限界点」に達しつつあると警告している。
一方、INPEによる直近の23年8月から24年4月までの監視データによると、アマゾン熱帯雨林の森林破壊は55%近く減少していた。
ルラ政権は、30年までにアマゾン熱帯雨林の森林削減量を実質的にゼロにすることを公約としており、欧米や日本などに資金などの援助を求めている。