【サンパウロ綾村悟】南米エクアドル政府は29日、汚職容疑で実刑判決を受けた同国のグラス元副大統領を、首都キトにあるメキシコ大使館が保護したのは国際法に反するとして、メキシコ政府を国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)に提訴した。
エクアドル政府は、メキシコ政府がグラス氏保護のみならず、亡命申請まで受け入れたことを内政干渉に当たると批判、エクアドルの司法を妨げる行為で外交使節の目的逸脱と訴えている。
グラス氏は、左派コレア政権下(2013~17年)で副大統領を努めたが、公共事業に関わる汚職に関与した容疑で実刑判決を受けていた。同氏は仮釈放中の昨年12月、メキシコ大使館に保護と亡命を求めて駆け込み、メキシコ政府が4月5日に亡命を許可していた。同日夜、エクアドル警察はメキシコ大使館に突入し、グラス氏の身柄を拘束した。
メキシコ政府は、エクアドル警察の行為を大使館の治外法権などを認める「ウイーン条約に反する」として厳しく批判、エクアドルとの断交を宣言しただけでなく、11日には同国政府をICJに提訴していた。