【サンパウロ綾村悟】ギャングの暴力による政情不安が続くカリブ海諸国のハイチで25日、次期大統領就任まで国内統治を行う「暫定大統領会議」が発足した。
同会議は、メンバー7人とオブザーバー2人の9人で構成されており、首相や閣僚を任命する権限を持つ。また、26年2月までに大統領選挙を実施、新政権に統治権を移行する。
評議会発足に先立ち、21年7月に暗殺されたモイーズ大統領に代わり大統領代行を務めていたアンリ首相が24日に辞任、25日にアンリ政権で財務相を務めていたボワベール氏が暫定首相として就任した。
ハイチでは、今年3月に武装ギャングが警察、刑務所や空港などを相次いで襲撃、刑務所からは4千人近くの囚人が脱獄した。
その後も治安悪化に歯止めがかからない状況で、非常事態宣言が敷かれている地域も少なくない。首都ポルトープランスは、市の8割がギャングの支配下にあるとされており、首都を脱出する市民が増え続けている。
国連は、ハイチの人口の半分近い約500万人が深刻な食料不足に陥っていると警告しており、昨年10月には、治安回復に向けて多国籍部隊の派遣を承認する決議を行っている。