【サンパウロ綾村悟】麻薬密売組織による凶悪犯罪が問題となっている南米エクアドルで21日、治安対策への軍関与の在り方などを問う国民投票が実施される。有権者は約1300万人。
国民投票では、11の設問が用意されており、国軍が警察行為に関与することの是非や、組織・凶悪犯罪、資金洗浄などに対する罰則強化が含まれる。
長年、エクアドルでの凶悪犯罪発生率は低かったが、左派政権で2009年に米軍が撤退すると、隣国コロンビアやペルーの麻薬密売組織が欧米への麻薬輸出拠点として流入した。
麻薬組織流入に伴い凶悪犯罪が急増、昨年9月には麻薬密売組織への対策強化を訴えていた大統領候補が暗殺されるなど、治安対策は急務となっていた。
昨年の大統領選挙で当選した右派のノボア大統領は、治安対策を公約としてきた。今回の国民投票には、多くの有権者から賛成の声が上がる一方、人権保護団体からは「人権が軽視されかねない」など懸念の声も上がっている。