【サンパウロ綾村悟】イスラエルによるパレスチナ自治区ガザでの軍事作戦を巡り、ブラジルで深刻な政治対立が発生し、左派ルラ大統領の支持率にまで影響が及ぶ事態となっている。
ルラ氏は20日、サンパウロ市内で行われた与党・労働党(PT)の集会で「イスラエルによるガザでの軍事作戦は戦闘行為ではなく虐殺だ」と批判し、国連はパレスチナの状況を改善するために行動を起こすべきだと主張した。
ルラ氏は先月にも、イスラエルの軍事作戦を第2次世界大戦時にナチス・ドイツがユダヤ人600万人を処刑した「ホロコースト」に例えて批判し、イスラエル政府がブラジル大使を呼び出すなど外交問題となっていた。
最新の世論調査では、軒並みルラ氏の支持率が下落しており、世論調査会社は「虐殺」発言が影響を与えたと分析している。
こうした中、右派ボルソナロ前大統領と親交があるサンパウロ州のタルシジオ知事とゴイアス州のカイアド知事がイスラエルを公式訪問した。ネタニヤフ首相と会見した後、カイアド知事はソーシャルメディアに公開した動画で、「ブラジル人としてルラ氏の虐殺発言を謝罪したい」と言明した。