
【サンパウロ綾村悟】南米エクアドルのグアヤキルで9日、生放送中の公営テレビ局「TC」のスタジオを武装集団が占拠し、番組が中断する事件が発生した。地元メディアが報じた。グアヤキルは、エクアドル西部に位置する同国最大の港湾都市。
現地からの報道によると、武装集団は、銃で番組スタッフを脅して床に伏せるように命じたり、「警察はいらない」などと叫んだという。襲撃の様子は15分ほど生放送で放映されたが、その後中断された。
事件発生後、警察は特殊部隊などを公営テレビに突入させてスタジオを解放した。これまでに13人の逮捕が確認されている。
同国では、犯罪組織「ロス・チョネロス」のリーダーがグアヤキル郊外の刑務所から脱走した事件(7日発生)を受け、ノボア大統領が8日に60日間の非常事態宣言を発令していた。同国では、脱走事件後から、犯罪組織が刑務所内で暴動を起こしたり警察官が誘拐される事件が相次いでいる。
また、ノボア氏は9日、一連の事件を受けて22の犯罪組織をテロ組織に指定すると発表、「国内は紛争状態にある」として「テロ組織を殲滅する必要がある」と治安強化を宣言した。
エクアドルでは、近年、隣国のコロンビアやペルーから麻薬密輸に関与する犯罪組織が流入、治安が急速に悪化している。
昨年8月の大統領選挙期間中には、犯罪組織の撲滅を公約としていた元ジャーナリストの大統領候補が、麻薬密売組織から送られた暗殺犯グループによって銃殺される事件も発生していた。
また、エクアドルの治安悪化を受けて、隣国ペルーのオタロラ首相は9日、エクアドルとの国境近辺に非常事態を宣言、国軍を配備して治安を強化すると発表した。