【サンパウロ綾村悟】ブラジルの環境保護団体「IMAZON」は27日、アマゾン熱帯雨林における11月の森林消失量が大幅に減少したと報告した。政府系ブラジル通信が報じた。
IMAZONによると、人工衛星からの情報を利用して調査した11月の森林消失量は、昨年同月の10286平方㌔㍍から3922平方㌔㍍へと62%も減少。11月単月としては、2017年以降で最低の消失量になったという。
ただ、11月の消失量は、東京23区(622平方㌔㍍)の6倍以上に相当し、依然として膨大な熱帯雨林が失われ続けている。消失量が最も多かったのは、アマゾニア州、パラー州、マットグロッソ州の北部3州だった。
アマゾン熱帯雨林は森林機能の劣化も昨年より加速しており、環境保護団体は、世界最大の熱帯雨林が機能を維持する「限界点」に直面しつつあると警告している。
また、アマゾン熱帯雨林地域は、過去40年で最悪の干ばつにも直面している。熱帯雨林があるブラジル北部はすでに雨季に入っているが、現在も62の自治体で干ばつの影響による緊急事態宣言が解除されず、63万人が飲料水不足などに悩まされている。
水位の低下により、魚やイルカなどが大量死している。エルニーニョ現象の影響とみられる干ばつが続けば、熱帯雨林の機能低下にもつながりかねない状況だ。
アマゾン熱帯雨林は、森林内に膨大な二酸化炭素を吸収しており、気候変動を抑制する象徴的な存在として、世界各国がその保護活動に注目している。
ブラジルのルラ大統領は、2030年までにアマゾン熱帯雨林の実質的な消失量を「ゼロ」にすることを公約としており、違法伐採の取り締まり強化などに取り組んでいる。