トップ国際中南米ベネズエラとガイアナ 領有権問題で武力衝突回避

ベネズエラとガイアナ 領有権問題で武力衝突回避

【サンパウロ綾村悟】反米左派ベネズエラのマドゥロ大統領と隣国ガイアナのアリ大統領は14日、カリブ海の島国セントビンセント・グレナディーンで首脳会談を行い、ガイアナ西部「エセキボ地域」の領有権を巡って緊張が高まっている問題では、対話継続と武力衝突を避けるとの認識で合意した。現地メディアが報じた。

ブラジルのルラ大統領が会談を仲介、オブザーバーとしてブラジルのアモリン外相やセントビンセント・グレナディーンのゴンザルベス大統領らが参加していた。

マドゥロ大統領は会談後、自身のⅩ(旧ツイッター)に平和的な対話継続に合意したと投稿した。次回の会談はブラジルで行われる予定。

エセキボ地域では、15年に良質の海底油田が発見されており、世界有数の石油鉱床として開発が進められている。推定原油埋蔵量は世界7位のクウェートにも迫るほどになっており、19年に初の原油生産が始まったにもかかわらず、ガイアナの22年の経済成長率は世界一だった。

ベネズエラは、15年以降、エセキボ地域に対する領有権の主張を強めており、今月3日にはエセキボ地域の領有の是非を問う国民投票を実施し、賛成多数で可決していた。

一方、ガイアナは米国の支援を受けて共同軍事訓練を行うなど対立、国連安全保障理事会にも緊張緩和に向けた対応を要請していた。

ガイアナの原油は軽質油で生産がしやすく、埋蔵原油が重質油中心のベネズエラにとっては、喉から手が出るほど欲しい資源であることは事実だ。

ただし、今回のマドゥロ政権の領有権主張は、来年の大統領選挙に向けた国内向けの支持固めとみる向きも多い。野党側が統一候補を立てて政権奪取を狙う中、国内の求心力を高めるためにも愛国心を煽(あお)る領土問題は欠かせないものとなっている。

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