アルゼンチンに保守政権誕生 ミレイ大統領が就任 親米派 中国傾斜から転換へ

10日、アルゼンチン大統領府で支持者の声援 に応えるミレイ新大統領(EPA時事)

【サンパウロ綾村悟】南米アルゼンチンで10日、独立系右派ハビエル・ミレイ氏(53)の大統領就任式が行われた。任期は4年。

「アルゼンチンのトランプ」とも呼ばれる親米派のミレイ氏は、外交面ではこれまでの左派政権による中国重視から脱し、米国との関係強化に進むことが予想される。

就任式には、ウクライナのゼレンスキー大統領やウルグアイ、パラグアイの首脳に加えてブラジルのボルソナロ元大統領が出席し、左派の牙城だったアルゼンチンに保守政権が誕生したことを印象付けた。

ボルソナロ氏は、自身のX(旧ツイッター)に、大統領宮殿前の広場に集まったミレイ氏の支持者から熱烈な歓待を受ける様子を投稿した。一方、ブラジルの現職ルラ大統領は就任式への出席を見送った。

就任後の演説でミレイ氏は、「困難な道だが、国の再建を始めよう」と強調。その上で「お金がない。財政緊縮はやむを得ない」などと痛みの伴う改革への理解を求めた。

アルゼンチンは、歴代左派政権が行ってきたばらまき政策で財政は破綻状態にある。穀倉地帯を襲った干ばつの影響で歴史的な通貨安とインフレにも直面。10月のインフレ率は前年比で140%にも及んだ。

リバタリアン(自由至上主義者)の経済家として知られるミレイ氏は、大統領選挙で、公約として中央銀行の解体や経済のドル化、省庁の削減など過激な政策を訴えたが、就任演説では過激な言動を控えた。

今後は、財政緊縮の過程で野党だけでなく、左派の牙城でもある労組や貧困層などから強い抵抗に遭う可能性も高く、長年のばらまき政策に慣れた有権者が、ミレイ氏の改革にどこまで耐えられるかも未知数だ。

spot_img
Google Translate »