フジモリ氏即時釈放を命令 ペルー最高裁 高齢・健康悪化を考慮

ペルーのフジモリ元大統領=2018年1月、 リマ(AFP時事)

【サンパウロ綾村悟】南米ペルーの憲法裁判所は5日、人権侵害などの罪で禁錮25年の実刑判決を受けて収監中のアルベルト・フジモリ元大統領の即時釈放を命令した。政府系アンディーナ通信などが報じた。

憲法裁の命令は、フジモリ元大統領の弁護団による人身保護請求を受けたもの。判事らは、フジモリ氏が高齢であることや健康が悪化していることなどを理由に、人道的な見地からも同氏は釈放されるべきだと判断した。刑期は8年以上残っており、事実上の恩赦に当たる。

憲法裁は、刑務所を管轄するペルー国家刑務局(INPE)に対して、6日までにフジモリ氏を釈放するように求めている。

一方、フジモリ氏に関しては、昨年3月にも最高裁が人道上の理由などから同氏の釈放を命じたことがある。ただし、この時は、米州人権裁判所(IACHR)が釈放差し止めを求め、ペルー政府も要請を受け入れていた。

ペルーの憲法裁は5日、米州人権裁判所の差し止め請求に関しても、「管轄外のことに請求を行った」などと批判した。

日系2世のフジモリ氏は、1990年にペルー初の日系大統領になると、「フジショック」と呼ばれる経済改革を行って経済の立て直しに成功、治安改善でも手腕を発揮した。一方、90年の議会閉鎖事件など独裁的な政治手腕に対する批判もあった。

その後、左翼武装ゲリラによるテロとの戦いの中、フジモリ氏は治安部隊による人権活動家殺害事件などに関与したとして、18年に禁錮25年の実刑判決を受けた。

同氏は近年、健康状態の悪化で入退院を繰り返すことが多く、21年10月には心臓の手術を受けていた。

高齢かつ健康悪化が進む同氏の処遇に関しては、「人生の最後は家族と一緒に」「人権侵害の独裁者を釈放させるべきではない」などとペルー国内でも意見が分かれている。

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