【サンパウロ綾村悟】世界最大の湿地帯として知られる世界自然遺産パンタナルで熱波の影響による森林火災が拡大し、同遺産があるマトグロソ州とマトグロソドスル州政府が非常事態宣言を発令した。
現在、ブラジルでは南東部と中西部を中心に記録的な熱波が襲来し、パンタナルでは11月だけで3000件以上の森林火災が発生している。
国立宇宙研究所(INPE)によると、パンタナルで火災により消失した土地はすでに85万ヘクタールにも及んでおり、被害はさらに拡大することが予想されている。
パンタナルでは、2020年にも大規模な森林火災が発生、1700万もの動物(鳥類、哺乳類、爬虫(はちゅう)類など)が死亡した。生物学の専門家は、大規模な森林火災が続けば「種の存続」が脅かされることになりかねないと警告を発している。
ユネスコの世界自然遺産に指定されているパンタナールは、世界有数の動植物相を誇る。絶滅危惧種とされるスミレコンゴウインコをはじめ、ジャガーやオオアルマジロなど生態系の宝庫として知られる。