アルゼンチン大統領選挙 右派と左派が激突 外交も左右する一戦に

【サンパウロ綾村悟】南米の大国アルゼンチンで19日、大統領選挙の決選投票が行われる。140%ものインフレに代表される経済危機の最中で行われる選挙だけに、国内的には経済・貧困対策が主な争点だ。ただし、米国寄りの右派候補と中国寄りの左派候補の対決という構図もあり、中国重視に傾いている中南米の外交、さらには「ピンクの潮流の再来」とも呼ばれる南米の左傾化に歯止めをかけ得る選挙としても注目を集めている。

選挙では、与党連合の左派マサ経済相(51)と独立系の右派ミレイ下院議員(53)が激戦を繰り広げているが、直近の世論調査ではミレイ氏が僅差でリードを保っている。9日に発表されたアトラスインテル社の世論調査では、ミレイ氏の支持率48・6%に対して、マサ氏は44・6%だった。

マサ氏は、現政権が持つ中国との強いパイプが頼りだ。中国との通貨スワップの利用枠拡大や、中国からの輸入の人民元決済を導入するなど、マサ氏が当選すれば中国との協力関係はさらに深まることが予想される。社会保障拡大を主張し、貧困層からの支援が厚いことも与党としての強みだ。

ただし、現職の閣僚でもあるマサ氏は、国民の生活を困窮に陥れたハイパーインフレの当事者でもあり、有権者からの批判も根強い。

一方のミレイ氏は、トランプ前米大統領を信奉するリバタリアン(自由至上主義)の経済学者として知られる。中銀の解体や経済のドル化を訴え、政治改革なしにアルゼンチンの再生はないと強調する。当選すれば、中国との関係を凍結するとも主張しており、外交的には米国寄りになる可能性が高い。

独立系候補のミレイ氏が健闘している背景には、先月22日の第1回投票で3位となった中道右派のブルリッチ元治安相がミレイ氏支持を明らかにしていることも大きい。

近年の中南米では、左傾化に伴い中国が外交・経済の両面で存在感を強めている。中南米でブラジルと並ぶ大国のアルゼンチンに保守政権が誕生すれば、中国が進める一帯一路構想にとっても打撃となりかねない状況だ。

また、報道にはあまり出てこないが、政治的にリベラル派が根強いアルゼンチンで、人工中絶の非合法化や行き過ぎた性教育の是正などを訴える政治姿勢も保守派から注目されている。近年は、キルチネル副大統領に代表される左翼ポピュリズムを嫌う保守層や現政権を批判する有権者も増えており、ミレイ氏が台頭する背景となっている。

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