【サンパウロ綾村悟】南米ブラジルの国立宇宙研究所(INPE)は9日、世界最大のアマゾン熱帯雨林の1年間の消失面積が前年比で2割以上減少したと発表した。政府系ブラジル通信が報じた。INPEは、人工衛星を利用してアマゾン熱帯雨林を監視している。
INPEが発表したのは、昨年8月~今年7月の森林消失面積で、推定9001平方㌔㍍。前年比で22・3%の減少となった。アマゾン熱帯雨林の消失面積が1万平方㌔㍍を下回ったのは、2018年以来初めてのこと。
熱帯雨林の消失理由の大半は、農牧業に利用する土地を開拓するための違法伐採と野焼きなど。食料価格高騰などにより、ブラジルでの農業への投資熱は高まっている。
一方、ルラ大統領は、アマゾン熱帯雨林の保護を公約として掲げている。ルラ氏は、2030年までに実質的なアマゾン熱帯雨林の消失量をゼロにすることを目指して、違法伐採の取り締まり強化や植林などを進めている。
マリナ・シルバ環境気候変動担当大臣は9日、「アマゾン熱帯雨林の消失量減少は、ルラ大統領によるアマゾン保護の公約と政府の努力がもたらしたものだ」と成果を強調した。シルバ氏によると、前年比22・3%の森林消失量の減少は、1億3300万㌧もの二酸化炭素排出抑制効果があるという。