【サンパウロ綾村悟】南米ブラジルの選挙高等裁判所(TSE・選挙高裁)は1日、ボルソナロ前大統領(68)の被選挙権を8年間停止する判決を下した。判決では、ボルソナロ氏が、2022年7月の独立記念日のパレードを同年10月に実施された大統領選挙に利用したと判断された。ボルソナロ氏は、次回26年の大統領選挙を含めて31年まで選挙への出馬を制限される。
また、選挙高裁は同日、昨年の大統領選挙でボルソナロ陣営から副大統領候補として出馬していたブラガ・ネト元国防相に対しても、ボルソナロ氏と同様の理由で8年間の被選挙権剥奪を命じた。ネト氏は、次期リオデジャネイロ市長選の有力候補の一人。
ボルソナロ氏は、今年6月にも権力乱用の疑いで、選挙高裁から8年間の被選挙権の停止判決を受けている。ボルソナロ氏は昨年7月、大統領官邸に各国大使を集めた上で、ブラジルの選挙システムを批判していたが、このことが権力の乱用に当たるとして、野党がボルソナロ氏の被選挙権剥奪を求めていた。
ボルソナロ氏は、キリスト教福音派などを中心としたブラジルの保守勢力の間では依然として根強い人気がある。
ボルソナロ氏に対しては、選挙高裁以外にも、大統領在職時にサウジアラビアから贈呈された宝飾品に対する脱税疑惑などの捜査を受けており、26年の大統領選挙出馬が厳しくなっている。そのため、保守陣営からは、ボルソナロ氏の妻で熱心な福音派教徒としても知られるミシェル氏の大統領選出馬の可能性などが注目を集めている。